2022年11月15日火曜日

大分合同新聞「学びと言葉~日本語支援の現場から~」

 大分合同新聞の「学びと言葉~日本語支援の現場から~」という掲載をふたつご紹介させてご紹介させてください。

ひとつめは、「大分中文学園」さんによる、母語・継承語を大切にする取り組みについてです。記事の中で里中玉佳さんは

「母語やルーツを知ることは自らのアイデンティティーを確立していく上でも大切なことだ。両国を知ることで豊かな人間性を育むことにつながる」と言われています。

「外国人児童生徒等教育」というと、どうしても「日本語指導」が前面に取り上げられることが多いかと思いますが、こどもたちが持つそれぞれの言語や文化などの背景を大切にしていく取り組みがこれからも増えていけばと思います。

ふたつめは、冊子『ムスリムの子どもたち』を作製された小学校教諭の後藤寿美枝さんを中心とした教員の方たちの取り組みについてです。冊子はムスリムのこどもたちの信仰や生活に関することをまとめ、学校生活で過ごす際に必要となりそうな配慮について丁寧に示す内容です。

後藤さんは「イスラム教にかかわらず、個々の子どもたちを知ることが大切。彼らのアイデンティティーを大切に思うことが必要ではないか」と語っておられます。

多様な文化背景をもつこどもたちが日本の学校に転入したとき、日本文化にどうスムーズに適応させるか、これまではそうした視点が多くみられたように思いますが、今回の取り組みから感じることは、まずはこどもたちの大事にしていることを理解しようとすること・・・学校の多文化共生に必要な大切なことだと感じました。

記事を読まれたみなさん、どんなことを感じましたか。

「外国人児童生徒等教育」「多文化に生きるこどもたち」に関わるまわりのわたしたち大人は、どのようなことを大切にし、そのような学校、ホスト社会を目指していけばよいと思いますか。






第32回九州地区高校英語スピーチコンテストでの活躍

 第1回多文化に生きるこどもネットワーク大分の多言語スピーチ会でいちばん最後にスピーチをしてくれたジュリーちゃん。あの時は中学3年生でした。あれから、大分県立翔青高校グローバルコミュニケーション科に進学し、さまざまなチャレンジをしているそうです。

そのチャレンジの一つ、「高校英語スピーチコンテスト」に出場し、大分県代表として、九州地区のコンテストの舞台に立ち、見事1位に輝き、来年2月の全国高校英語スピーチコンテストの出場権を獲得したそうです。ジュリーちゃん、ジュリーちゃんを支えてくださる周りのみなさま、おめでとうございます!

ジュリーちゃんの輝く笑顔が新聞に掲載されていたので、共有いたします。

ジュリーちゃんは小6の時に別府市内の小学校に日本語ゼロで転入しました。いろいろな思いを抱えていたようです。以下、多言語スピーチ会での語りです。

「いじめられて一人になることをネガティブにとらえず、ポジティブに考えるべきだと私は信じます。

例えば、『あきらめるか前に進むかを人生に試されているのだ』と自分に言います。また、自分はいじめられることで強くなるといいきかせます。

そしてライオンのように吠えるのです。人生は自分が変われるか変われないかのテストです。私たちは辛い時間から学ぶべきだと思います。」

個人的には・・・ジュリーちゃんがライオンになり吠える必要のない学校、ホスト社会であってほしいと思いますが・・・・

ジュリーちゃんは、中学時代に辛いと感じた時間から学んだことを、高校で活かし、前に進んでいるのだと思います。今回の英語スピーチコンテストでは、ジュリーちゃんの夢についての語りのようです。

大分に暮らす複文化・複言語に生きるこどもたちにとって、ジュリーちゃんの歩む姿を見ることはとてもプラスの影響だと感じます。これからもジュリーちゃんのチャレンジを見守り、応援したいと思います。


スピーチの様子はケーブルテレビ「わくわくトンボチャンネル」のアーカイブで視聴できます!https://community.ctb.ne.jp/feature/beppu/detail/7150