2023年3月28日火曜日

第15回ネットワーク会のご報告

桜咲く春がやってきました。どの子も新しい学校学年に向けて心弾ませてくれていたらいいなと思っています。

さて3月17日に、県内外から約30名の方のご参加を頂いて行った『就学前のこどもたちのこと~保育園・幼稚園・おうちで育つこどもたち~』の報告をさせて頂きます。

まず国際ファミリーのお父さんの立場でお話くださった【グエン ホアン ナムさん】。ベトナムと日本の国際ファミリーとして、子どもたちが日本にいながらもう一つの国のことも大事に感じられるような環境づくりをされていることを事例を紹介しながら詳しくお話下さいました。まずは自分のルーツの国を「好きになること」が何より大事。そのために小さな頃から様々な文化に日本の園や学校に望むこととして、特に名前の話が心に残りました。確かに日本人風に呼びやすくアレンジしてしまうことはってよくあることな気がしますが、自分に置き換えて考えたらやはり気持ちのよいことではありません。子どもの名前を丁寧に呼ぶことは「あなたを大事に思う」というメッセージだということを改めて感じさせられました。

続いて別府市のひめやま幼稚園で日本語指導をなさっている【佐藤由美さん】。ラジオ局アナウンサーなど「ことば」の専門家である佐藤さんには、実にわかりやすく、それでいて心に響く言葉でご自身の授業実践をご紹介いただきました。手作りの教材で子どもたちの興味関心を高め、絵本の読み聞かせで子どもたちの心に響かせること。その絵本選びにも宗教的な配慮が必要だと気付かれたお話は、私たちが多様な背景を持つ子どもたちと接する上でとても大事なポイントだったと思います。また、園からのミッションとおっしゃっていた「その子がどうすれば笑顔になれるか」は、日々の活動の中で私たちが何をめざして子どもたちと関わるべきかを示唆してもらえる本当に良い言葉だと、後のグループトークでも話題になりました。

グループトークでは様々な話題があがりましたが、最後の交流で「就学前だからこそ、お勉強に左右されずに自由に自己表現できる。多文化に触れる環境を意識的につくり出し、ルーツのある国を誇りに思う気持ちを育てたい」ということが共通理解されました。

☆アンケートより☆︎

○初めての参加でしたが、和やかな雰囲気で参加しやすいなと思いました。発表者の方お二人とも、短時間の中でとても大切なことを凝縮してお話しくださって、とてもよいお話が伺えました。

 日本で育つ中で、もう一つの国の文化に意識的になることは、保護者の方による環境づくりがとても大切であり、それがとても難しいことがよくわかりました。ご家庭と接する保育者や支援者にもその意識と理解をもっていただくためには、積極的にそのことを広める必要があると感じました。

 佐藤さんの指導の仕方というのが30分の中に大切なことがまとまっていて、とても参考になりました。他にも市内県内で同じように未就学児さんに日本語指導している方がいるのであれば、共有されるといいなと思いました。

○ ナムさんご夫妻の子育てに心を打たれました。多文化の子どもたちは小さいころは意識せずとも、成長に連れて少しずつ自分たちの多文化背景を意識し始めるけれど、この社会の中では、多文化背景が否定的にとらえられることも多い。ご夫妻が何度も話し合いながら、こどもたちのためにできることを積み重ねていく姿が、わたしには眩しかったです。

○ 佐藤さんのお話から、成長していく子どもたちの姿が浮かぶような気持ちでした。心を込めて子どもたちとの時間の準備されていることが伝わってきて、美しい声やことば選びも相まって、聞いていてこちらまで笑顔になるようでした。幼稚園での授業内容も、子どもたちの気持ちを引き出しながら、成長につながるような工夫がたくさんあると思いました。特に絵本の事例が印象的でした。おっぱいの絵を見せたときのスリランカからの子たちの反応も、文化的な配慮につなげられていて、確かにそうだとハッとしました。幼稚園でのこうした支援事例はあまりないようで、これからもっと増えていくといいなと思います。

今後さらに増えるであろう多文化に生きるこどもたち。就学前の子どもたちへの関わりについては、きっと今後さらにクローズアップされるものと思います。今回お二人のゲストに対話のきっかけを頂いたことに心から感謝し、今後も県内外の皆さまと共に考え続けてまいりたいと思います。