2026年7月27日月曜日

大分県における外国人生徒等の高校入学者選抜制度に関する提案

中学生で来日した子どもたちがぶつかる受験の壁。

一生懸命、日本語を覚えながら、教科学習をがんばっていますが、学習言語の習得には5~7年かかると言われており、日本語母語話者と同じ土俵で高校受験をするのはとてつもなく、大変です・・・以下、外国人生徒等の高校入学者選抜制度の改善を願って、提案をまとめました。制度の壁は子どもたちにはどうにもできず、大人ががんばるところだと思います。

      大分県における外国人生徒等の高校入学者選抜制度に関する提案

文部科学省の調査では日本語指導が必要な児童生徒は過去最多となっており、大分県でも増加傾向が続いています。県内の中学校では、多様な言語的・文化的背景をもつ生徒への進路指導が重要な課題となっています。高校入学者選抜制度について、改善を検討していただきたい点を以下に整理します。

1 帰国・外国人生徒特別入学者選抜の実施校の拡充

現在、帰国・外国人生徒特別入学者選抜を実施している県立高校は、別府翔青高等学校グローバルコミュニケーション科のみとなっています。しかし、外国人生徒の進路希望は多様化しています。例えば、普通科で大学進学を目指す生徒や商業・工業・農業分野等で学びたい生徒など、一人一人描く将来像は様々です。

現状では、特別入学者選抜を希望する場合、実質的に進学先の選択肢が一校・一学科に限られているため、生徒の進路希望よりも制度の有無が進学先の選択に大きく影響する状況で、本来希望する進路ではなく、制度を利用できる学校を優先して選択せざるを得ないケースも見られます。また、日本語指導が必要な生徒が地域的に増加している現状を踏まえると、県内複数校において特別入学者選抜を実施することを検討していただきたいと考えます。進学校や専門高校、総合学科等も含め、進路選択の幅を保障することは、生徒一人一人の能力や適性を生かしたキャリア形成につながるものと考えます。

2 特例措置における「3教科受験」の導入

現在の特例措置では、ふりがなの付与や試験時間の延長等の配慮が行われています。これらの配慮は大変意義のあるものですが、日本語指導が必要な生徒にとっては、ふりがなや試験時間だけでは解決できない課題があります。例えば、数学や理科では学力を発揮できる生徒であっても、社会や国語では、日本語の語彙や読解の負担によって、本来の学力を十分に発揮できない場合があります。そのため、学力ではなく、日本語能力によって進路が制限される状況が生じています。

全国では、外国人生徒等を対象に、教科数を軽減(3教科等)で受験できる制度で特別選抜 を実施している自治体もあります。大分県においても、希望者が選択できる制度として、3教科受験を導入することを検討していただきけたらと思います。これは学力水準を下げるものではなく、日本語能力の影響をできる限り小さくし、生徒が本来持っている学力や可能性を適切に評価するための合理的配慮であると考えます。

3 おわりに

外国人生徒等への支援は、「特別な配慮」ではなく、すべての生徒に公正な教育の機会均等を保障するための取り組みです。大分県では、小・中学校での日本語指導の支援体制が進められています。また、特別の教育課程を実施する高校も増えてきています。これらの成果を高校進学へと確実につなげるためにも、高校入学者選抜制度についても、現状や全国の動向を踏まえた見直しが進められることを期待します。大分県のすべての生徒が、自らの能力や希望に応じた進路を主体的に選択できる高校入学者選抜制度となるよう、ご検討くださいますようお願い申し上げます。

参考資料:東京外国語大学 多言語多文化共生センター「2026年度入学者向け 外国人生徒等の高校入学者選抜制度調査」https://www.tufs.ac.jp/institutions/cemmer/jigyou/highschool-survey/prefectures.html

多くの都道府県において複数校で外国人生徒等を対象とした特別選抜が実施されており、地域の実情に応じた制度整備が進められており、参考になればと思います。